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壁 壁 壁

2011年11月04日 21:48

現在地 エチオピア アジスアベバ。

行けるところまではどこまでも陸路で、というのが一応のモットーであったが、ついに空路を余儀なくされた。
チャドの首都ンジャメナ(しりとりで有名な!)で、スーダンビザを取得できなかったのだ。去年までは、チャド、スーダンの国境はダルフール紛争の関係で閉じていたので、チャドから陸路でスーダンに入国するのは不可能であった(大使館も閉鎖されていたらしい)。だから国境が開いている時期にここまで来れたのは幸運、と思っていたのだが、ビザが発給されないのでは、陸路どころかスーダンに入国することすら不可能。初めて壁にぶちあたった。
スーダン大使館ではかなり粘ったが、諦めざるを得なかった。あちら側の対応が非常に真摯(紳士)で、大人げなくいつまでも粘るのが気恥ずかしく思われ、潔く大使館を立ち去った。頑なにビザの発給を拒まれたのではなく、基本的に非居住者にはビザは発給できない。どうしてもビザが欲しければ、パスポートコピーをカルツーム(スーダンの首都)に送って照会することもできるが2ヶ月はかかる(しかもビザが発行される保証はない)、ということであった。

初めての「壁」だった。
しかし考えてみると。ここ1ヶ月ほど何かしら乗り越えられない壁のようなものを感じることは何度かあったように思う。

ナイジェリアからチャドへ向かったのは、約2週間前。以前にブログをアップしたカノの街から直接チャドへ向かう交通機関はなく、国境近くの街マイドゥグリという街に一泊した。マイドゥグリは、イスラム過激派が活発に活動する街で、毎週不穏なニュースが絶えない。アブジャの友達には、できれば宿泊を避けてほしいと言われた。確かに警備は至って厳しく、心置きなく街歩きができそうな感じではなかったが、街はむしろ他の街より美しく整備されていて、感じがよかった。ただ、一泊しただけではわからない闇は確かに存在するのだ。毎日そうした闇に怯える生活を想像してみた。

翌日、チャドのンジャメナへ向かった。ナイジェリアとチャドは陸続きの国であるにもかかわらず、正式な国境が存在せず、チャドへの移動はカメルーンを経由する形になる。このカメルーン移動はビザは必要なく、国境で通過の申請をするだけだ。ナイジェリアの国境で、バスからバイクに乗り換え、カメルーンサイドへ移動。その後、通過の手続きを済ませ、チャドの国境に近い街までタクシーで移動した。国境の街からタクシーを乗り換えンジャメナに向かう。チャドの国境では書類を書くのに少し時間がかかったが、賄賂を要求されることも難しい質問をされることもなく事務的に事は運んだ。
さて、ここまでは良かった。ところが、タクシーがンジャメナに到着して他の乗客がぼちぼち降り始めた頃に問題が起こった。私はすっかり疲れていて、タクシーに乗車する前に値段を聞くのを忘れていた。先に降りていった女性が2000CFA(約350円)を払っていたので、そんなものかと思った。ところが、いざ運賃を払う際になって、2000CFAを運転手に渡すと、「お前は10000CFAだ」と言う。なぜかと聞くと、国境で手続きに時間がかかった分の追加料金だと言う。「そんなバカな。他の乗客は2000CFAしか払ってないのに、なぜ私だけが10000CFAも払わなければいけないのか」というと、「あいつらはアフリカ人だから違う」と言う。「アフリカ人だろうがアメリカ人だろうが、日本人だろうが同じ人間だ」と私が言った後、思いがけない(少なくともそのときの私にとっては思いがけない)言葉が帰ってきた。
「同じじゃないよ。なぜなら、俺らは黒人だからさ」
もう金が惜しいとは思わなかった。ただ悲しかったのだ。それまで7ヶ月アフリカを旅してきて、そこまで悲しかったことはなかった。思わず言葉を失った。私は7500CFAを払い、これで勘弁してくれと言った。実際私の残金はほとんどなかった。
それから私は「初めてチャドという国にやってきた初めて日に金のことで喧嘩をするのは嫌だ。もう少し違う話しはできないか?」と運転手に言った。それで少しやっと会話が始まった。私はこれまでアフリカを7ヶ月旅してきたことや、いつかアフリカで仕事もしてみたいといったことを話した。運転手は静かに言った。
「俺はチャドに生まれ、生涯他の国を旅することなんかきっとないんだろうな。ああ、人生ってこんなものか」

チャドはどこへ旅をするにも許可が必要で、結局ンジャメナから出ることはなかった。国連、赤十字、国境なき医師団などの国際機関か人道支援グループとなぜか呑気にビジネスをする中国人しか外国人が存在しない国。旅行者だと言うと、非常に珍しがられた。
チャドの庶民にとって安定した電気供給や水道は夢のまた夢。極楽の国日本からやってきた私は、そうした人々の生活やタクシー運転手の言葉を忘れようにも忘れられない。

壁は確かに存在するのだろうか。それとも、私たちの心の中にあるのだろか。

DSC01170_20111104214737.jpg

チャドは基本的に写真撮影禁止。こそっと一枚だけとってみた。

DSC01172_20111104214732.jpg


ホテル内の理髪店で。遊び心。



コメント

  1. ゆかり | URL | -

    私にとっては
    映画を観ているような
    内容で
    そこから何を
    学ばなければいけないのか
    ちゃんと理解出来ていないと思います。

    でも、
    私も悲しくなりました。
    うまく言葉に出来ないのが
    悔しいですが……。


    先生が
    安全な旅を送れることを
    祈っています!

  2. Rrrrrinax | URL | -

    Re: タイトルなし

    大事なのはまずは知ることで、あなたの意見は後になってから自然と形成されていくでしょう。今日の日記にも書きましたが、私は旅の途中で自分がいかに無知であるかを知りました。いろいろなことを若いうちから吸収していってくださいね。つまらない大人にならないように!あと、心配をありがとう。

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